NPO湿潤治療(モイストケア)を推進する会

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NPO活動 (52)

「湿潤治療(モイストケア)を推進する会」の活動報告です。

2015/08/05(水曜) 10:55

会員の活動紹介-11

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今月は神奈川県の金沢文庫駅近く、庄司クリニック副院長 三浦靖彦先生にお話しを伺いました。 ー 医師としてのキャリアを教えてください。 消化器外科を中心に横浜市立大学病院、横浜市民病院、横浜掖済会病院、他で勤務後、現在に至っています。 ー 湿潤治療を知ったのはいつ頃ですか? 横浜掖済会病院にいた2005年くらいの時なんですが、そこは一般病院で患者さんの年齢も高く、その中に褥瘡の患者さんが多かったんです。大学病院にいたときには褥瘡の治療にはあまり縁が無く、あったとしても看護師さん任せで処置の経験が少なかったんですね。実際目の前に患者さんが多くいる状況になって、どういう治療法が良いのかといろいろ模索していたんです。それまでに行っていた褥瘡の処置の仕方も複雑で・・・。そんな時「傷の正しい治し方」という本に出会ったんです。この本を見たら大変わかりやすく、「これ簡単じゃない?」って始めたんですよ。 ー それまでには大学や以前の病院で体系的に湿潤治療を学ばれたことは無かったんですか? ないです。この時が初めてでした。大学病院の時は外科に所属していましたが、すべてイソジンで消毒するのが常識でしたから。 ー 多くの先生方が湿潤治療に切り替える時は恐る恐るというか躊躇するようなんですが、先生はすぐに切り替えられましたか? 先ほど申し上げたように褥瘡の治療は殆ど初めてだったんですね。本にある湿潤治療の症例写真を見ればキレイに治っているし、手間も掛からない。しかも言ってること(書いてあること)も理に適っているのでやってみる価値があるんじゃないかなと思いました。褥瘡治療初心者だったからこそ、素直にできたんだと思います。 で、実際にやってみると感触も良いし、治りも良くて・・・。早速病棟内で広めていこうと思って外科の看護師さん集めて勉強会など開いていきました。 ー その時は病院として湿潤治療ができる状況だったのですか? 正式に切り替えたわけでは無いのですが、現場では私が責任者みたいな状況だったので勝手にできてましたね。ただし、他の科までは関われなかったです。 ー これほど結果としてキズが治ってるし、論理的なのに何故他の医師の方々は湿潤治療を否定するのでしょうか? 「否定」というより「考えない」じゃないですか?。ずっと消毒するのが当たり前とすり込まれているので疑問も持たない?。今までそうやっていたから、これからもそうやって行く・・・。 何の分野でも進歩しているじゃないですか。僕も今、消化器内科医として内視鏡なども行いますが、内視鏡の分野でも日々進歩しているわけです。いろいろなセミナー出たり、学会に参加したりして新しい処置の仕方を研究しないとどんどん遅れていってしまう。だけど、昔ながらのやり方でもできないこともない・・・。新しいことを取り入れようとする人は若くても年を取っていてもいろんな情報を入れていくが、そうじゃ無い人はそのままなんですよね。困ったことに過去ずっとそうやって(一応)治っているし、湿潤治療をしなくても治るキズは治っているのだから無理に新しいことをやらなくても良いという論理なんだと思います。 ある病院に勤務していたとき、僕が傷の手当てをしてガーゼを充てるワケです。そうすると上の先生がガーゼの(何枚か重なっている)表面の一番上の部分を外していくんです。ある時「何故ですか?」って聞いたら「君が直に触っているのでそのガーゼは汚染されている、キズに感染しないように外している」ということなんです。その当時は清潔・不潔という概念がそんな感じだったから・・・。外科医は「清潔・不潔の概念」をたたき込まれていて、看護師からガーゼの受け渡しの仕方まで徹底して教育されていくので、だからそういう思考回路から脱するのは難しいんだと思いますよ。 大学病院などの大きな組織の中にいると、トップがそのような概念を持っていると下がそれをはじき飛ばして新しいことを主張していくのは難しいんだと思います。 でも実は外科の手術でも昔と常識が違っていることは結構あるんですよね。例えば腹腔鏡の手術なんかで昔の常識が飛んでしまっていることもあるわけで、昔はこうしなきゃいけないと言われていたことが今は必要ないことはいくらでもあるんです。それ以外にもたくさん同様なことはあって、その中でもキズの治療なんかは最たる物ですよね。でもこんな簡単なキズの治療が変わっていかないのが不思議なくらいです。 ー 湿潤治療を行った上で困ったことはありましたか? 最近は湿潤治療も知れ渡ってきたのでそんなことは無いと思いますが、初期のうちは患者さんの理解を得るのが難しかった記憶もあります。消毒しないことへの抵抗、「水道水で洗えばいいですよ」っていうところに抵抗が結構あったようで、(病院の)外で「この病院はろくな治療をしない」と言っていた方がいたという、風の噂で耳にしたことがありましたね。それはまずいということで、(水道から直接でなく)滅菌生理食塩水で洗い流したりとか、それを浸した綿球で拭ったりといったパフォーマンス(?笑)で患者さんに不安を与えないような処置をしたこともありました(笑)。消毒とか滅菌しなくても良いと言うことを理解していただくことが大変でした。 でも実はこれも困ったことがあって、湿潤治療を行っている病院として夏井先生のサイトに登録していたので、それを見てきた患者さんがその処置を「消毒している」と誤解されてもまずいなあと(笑)。 ー 湿潤治療を行っていて印象的なことはありますか? 子供のヤケドはホントに治りが早いです。とくに乳幼児は感動的に・・・。親御さんの動揺が激しいのでそういう意味では効果が大きいかもしれません。 ー 湿潤治療普及のためにはどうすればよいでしょうか? 以前の病院ではベテランのコメディカル(病院内の医療スタッフ)の中には受け入れられない人もいて、そのような人を説得していくよりも若い人、積極的に新しいことを受け入れてくれる人に知識を広げていってもらうことに力を注いでいました。 また「消毒信仰」(?笑)を無くすのはなかなか難しいですね。これは医療関係者のみならず一般の方に対してもですけど。そのためにはいろいろなメディアに取り上げていただくのが効果的なのだと思います。 また、当クリニックの院長が校医として関わっている学校もあるので子供への啓蒙ができていければ良いと思ってます。 庄司クリニック http://www.shoji-clinic.jp
2015/07/01(水曜) 16:02

会員の活動紹介-10

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今月は 群馬県高崎市の「あすなろクリニック」 院長 山田敬之先生にお話しを伺いました。 ー 先生のキャリアを教えてください。 1990年に群馬大学医学部卒業後、同大学並びに群馬県内の複数の病院で勤務、2008年「あすなろクリニック」を開業致しました。 ー 湿潤治療を知った切っ掛けは? 確か2002 3年頃、ある医療メーカーのMR(医薬情報担当者)さんから「こういう治療方法があるのですが、先生ご存知ですか?」という情報をいただきました。そこから興味を持ってネットで調べ始めたんです。それまでは当たり前ですけど、キズは当然消毒しなければいけないと思っていたし、とにかくイソジンを塗ると・・・。湿潤治療を最初に聞いたときは「何言ってんだよ」っていう気持ちはあったんですけど、頭っから否定するのもどうかなと思ってちょっと見てみようと。そして夏井先生のページにたどり着いたんですが・・・衝撃的でしたね。実は当時勤務していた病院に非常勤でいらっしゃる菅野先生という方が湿潤治療に詳しいことを後から知ったんです。で、早速いろいろと相談するようになりました。 ー 当時の勤務先の病院で湿潤治療を実行できたのでしょうか? ココだけの話ですがね(笑)、正直言うと黙ってやっていました。それ(湿潤治療)が分かった段階で、たぶん怒られるでしょうから(笑)。 まずは小さいキズの時にやってみようかなと。いずれにせよ菅野先生にご相談できたので割とすぐできました。それがなかったらどうだったんだろうと今は思いますね。 次の勤務先でもちょっと理解してくれる上司と全くダメという上司が一人づついて、そこも自分の外来患者の時だけ細々と(湿潤治療を)やっていました。 幸いトラブルもなかったので結果、問題なかったです。 開業前の3年間は下仁田厚生病院にいたのですが、そこは自分がトップとして赴任したので湿潤治療に切り替えてしまいました。 ー そこのスタッフは問題なかったのですか? 部下も湿潤治療には興味があって少しだけ始めていたところだったので「じゃあ、これやろうよ」という話にもなりました。頭ごなしに一気に切り替えたのでは無く、看護師さん含め、スタッフにも「こういうやり方があるので少しづつやってみましょうよ」という感じで始めたので、スムーズに移行できました。 ー 湿潤治療を行っていく上で何か問題点などはありませんか? プラスモイストが保険が利かないじゃないですか(*)、それを患者さんに購入してもらうことに困ったことがありました。当院は院内薬局なので混合診療になってしまうということです。結局患者さんには(取り替え分を院内ではお渡しできずに)ネットなどで注文してもらう状況になってしまうので・・・。それがネックとなって他の病院でも困っている(湿潤治療が進まない)原因になってる可能性もあるんじゃないですか? ー 湿潤治療を行っていて他に気がついたことなどありますか? ヤケドの患者さんが結構来院するんです。夏井先生のサイトを見て当クリニックを知って・・・ イソジン消毒されて泣きの涙でこっちに来て、全然痛くなく治療ができてよかったと言われる患者さんがとても多いですね。 また、当クリニックが湿潤治療をやっていることで信頼を得るのでしょうか、キズの治療ではなく、ケガとは全然関係の無い他の病気でも遠くから患者さんが来るといったことが起きているのが面白いですね(笑)。 ー 湿潤治療を普及させるためにはどのような取り組みが必要でしょうか? 現状、全国的に医師会などの組織が動くのは難しいと思うんです。 特に高齢の先生方は怖いんだと思います。今までやってきたことを覆すということが・・・パラダイムシフトが起きるのが恐ろしいんじゃないですかね? 今、私どもの地域の中でメーカーなどを入れない、しがらみの無い独自の勉強会を企画しています。そこに若い先生が来ることがあると思うので、そういったことからスタートして少しづつ広めていければと思ってます。 また、山田先生は最後に「医学は科学なので、多数決じゃなくて科学的に正しいかどうかが判断基準になります。そうであるがゆえに湿潤治療を進めていくべきだと思います。」とおっしゃっていました。 あすなろクリニックhttp://asunaro-cl.jp *) 一般医療機器(クラス1)であるため保険償還品でない(手技料に含まれる)プラスモイストや各種フィルム材については、保険償還品である創傷被覆材(クラス2、3)と比べかなり安価に設定されていますが、保険診療分と同時に自宅交換分などの実費請求はできない事になっております。 しかしながら、保険診療の会計外としてマスク等を販売するのと同様に患者さんの希望で患者さん自ら購入されるものを病院内の窓口で販売されている例もあります。 また多くは院内売店や調剤(門前)薬局などで交換分を販売されているようですし、ネット販売についても、翌日到着など素早い配達ができるところも増えているようですので、病院・施設の状況に合わせたご判断で患者さんに適切な治療を受けて頂けるようになることを望みます。(NPO事務局より)
2015/06/29(月曜) 11:30

社内研修で湿潤治療講習会

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 去る6月27日に東京五反田にて湿潤治療の講習会が開催されました。 首都圏で数件の保育施設を経営しているベビーステーション(http://www.babystation.co.jp)の社内研修会で、受講者は保育に携わる職員の方々が対象です。 切っ掛けは会社の役員の方が昨年ケガをされ、湿潤治療でキレイ治ったことで、お子様を預かる施設として職員にその知識を共有してもらいたいと思ったことでした。 実はその治療を施した先生が昨年の当会のフォーラムで講師を務めていただいた芝浦スリーワンクリニックの望月先生で(http://www.emilio-moriguchi.or.jp)、今回の講師も、もちろん望月先生です。 受講者の皆さんは湿潤治療の存在自体を知らない方も多く、スライドに示される症例写真に驚きの声も上がり、そして先生のお話に真剣な表情で耳を傾けていらっしゃいました。 この記事をご覧になり、講習会開催に興味を持たれましたら、ぜひ当会までご連絡ください。
2015/06/03(水曜) 15:02

会員の活動紹介 - 9

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今月は大阪市淀川区の こおりた ひろ整形形成外科クリニック、郡田大宇(こおりた ひろたか)先生にお話しを伺いました。 クリニックのブログには湿潤治療の経過が写真とともにレポートされており、患者さんはもちろんのこと、湿潤治療に取り組まれている医療関係者の方々にも参考になることと思います。 ー 先生のキャリアについて教えてください。 平成8年、東邦大学医学部卒業後、京都大学医学部附属病院整形外科、京都市立病院整形外科、他の勤務医を経て20年3月に「こおりた ひろ整形形成外科クリニック」を開業致しました。 ー 湿潤治療を始めたのはいつからですか? 確か5年くらい前だったと思います。それまでの勤務医時代も含め湿潤治療を行ったことも無く、存在も知りませんでした。クリニックを開院した後もしばらくはせっせと消毒しておりました。 ー 湿潤治療を知った切っ掛けは? はっきり覚えていないのですが、傷の治療に関してネットで調べているうちに夏井先生のページに偶然たどり着いたのだと思います。 それで「なんなんだこれは!?」と・・・。のめり込むように読み、勉強させていただきました。そして早速夏井先生にいくつかの質問メールをさせて頂いたところ、非常に早いリアクションで返信を頂き、いろいろと御教授頂いたあと湿潤治療に取り組みはじめました。 ー ご自身の中で不安はなかったですか? いや、最初は正直言って抵抗ありました。例えば「人工関節が露出していても感染していなければそのままで良い」なんていうことは考えられなかったですね。ですから戸惑いました。夏井先生に怒られると思いますが(笑)、従来の治療と夏井先生のやり方との中道的なところから始めようかなと思いました。 最初は小さいケガでおそるおそる行いながら・・・で、経験を積むうちに「なるほど」と・・・。非常に理には適っているし、痛みも少ないし、治りも早いことも確認できたので半年くらいで完全に湿潤治療に移行しました。 ー 実際に切り替えた後はいかがでしたか? とにかく驚きました。こんなに早くキレイに治る方法があったのか?!と。驚きと感動でした。そして患者さんは物理的にも、精神的にも、医療費の負担も少なくて済みますし・・・昔は消毒のために毎日通っていただいていたわけですから。 それから・・・よく外来でヤケドされたお子さんをお母さんが連れていらっしゃるんですけど、治療を受けて泣かれることがあるのですよ。 ー え?(痛みが止まって)泣き止むのではなく??? いや、お子さんが痛さで泣くのでは無くて、親御さんが感動されて・・・ 他の病院で皮膚移植とか、切断するとか、跡が残るとかさんざん怖いことを言われて・・・必死に自分で治療法を調べて湿潤治療にたどり着き、そして当院に来る患者さんが結構多いのです。そこで植皮もせず治るよと言われて・・・安堵とともに涙が出るんですよね。 こっちもつられて泣きそうになります。 ー 湿潤治療を行う上で困ったことなどはありますか? 消毒しないことで戸惑う患者さんはいらっしゃることも確かですね。本当にいいんですか?と。そういった場合は症例を見せて、しっかりと説明をすれば殆どの方は納得されるし、結局は結果に満足されるので大丈夫ですね。 強いて言えば従来の治療に比べて説明に時間が掛かるといったデメリットと、(早く治るので)利益に繋がらない?(笑)。でもそれ以上に医者としてそれを上回る感動が多いですから。 特に子供のヤケドやケガがキレイに治ったときの感動は大きいですね。 親御さんから涙ながらに「本当にありがとうございました。」と言われたときは本当に嬉しいです・・・とか言われても僕は水で洗って(被服材)貼ってるだけなんですけどね(笑)。 あるお母さんからはお礼にと私の似顔絵をプレゼントしていただき、今も大切に診察室前に飾らせて頂いております。 *その時のブログはこちら http://hiro-cl.com/wp/?p=1625 ー 湿潤治療を普及させるためにはどうしたらよいでしょう? コツコツやって実績を積み上げる、後はブログなどで情報を発信していくことでしょうか。 じわ〜と広がっていくとは思うんですけど。 私自身でも講習会に協力することなどは行っていきたいですね。 それから医師の方にはとにかく(湿潤治療を)見て欲しい、話を聞いて欲しいと思います。 従来の治療をされている方はある意味自己否定になる所もあると思うんですが、とにかくまずはどんなモノかをご自身で確かめて欲しいです。 また、被覆材を貼りっぱなし、石けんで洗うなど間違った湿潤治療をされている方もいて、それで化膿などさせてしまうと否定派から揚げ足を取られかねないので正しい湿潤治療の方法を学んで欲しいです。 こおりた ひろ整形形成外科クリニック http://www.hiro-cl.com/index.html
6月6日〜7日にかけて行われる八ヶ岳の山野を駆け巡るトレイルランの大会 スリーピークス八ヶ岳トレイル に 湿潤治療(モイストケア)を推進する会が参戦します! とは言っても我々スタッフが走るわけでは無く、救護スタッフへの協力と設置されるブースに於いてモイストケアの広報活動を行こととなりました。 また6日には昨年、当会の湿潤治療フォーラムにて講師としてご協力頂いた芝浦スリーワンクリニック(旧エミリオ森口クリニック) の望月吉彦先生による湿潤治療講習会も開催されます。(15:00を予定) 山梨県には湿潤治療を行っている医療機関が少ない事もあるので、この機会にモイストケアが広まる切っ掛けができるよう頑張って参りたいと思います! 皆さんもレクレーションも兼ねてこの機会に八ヶ岳に遊びに来ませんか? 親子向けのイベントや特産品のマルシェなども開催されるようです。 その際は当会のブースにもお立ち寄り頂き、一声お掛けくださいね!
2015/05/07(木曜) 11:44

会員の活動紹介-8

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今月は福岡市、堺整形外科医院 福岡スポーツクリニックの理事長である堺研二先生にお話しを伺いました。 ー 医師としてのキャリアを教えてください。 1991年産業医科大学医学部卒業、2年の研修期間を経て関節鏡手術のパイオニア陳永振博士の元で5年間勤務後、地元の病院での勤務医を経て、2001年に堺整形外科医院を開業しました。 ー 湿潤治療を知ったのはいつ頃ですか? 湿潤治療は2004〜5年くらいに雑誌か何かで見た後にネットでいろいろと調べ始め、スタッフと協議を重ねながら湿潤治療を取り入れる方向で取り組み始めました。 浅い擦り傷や軽度のヤケドなどで様子を見ている時、たまたま家内が指先をざっくり切ってしまうケガをし、これはいい機会(笑)だと思って処置の経過をしっかりと観察し、確信を持って湿潤治療に切り替えました。 それ以降はすべての外傷は湿潤治療で行うようになりました。 ー 湿潤治療を導入するにあたり、不安はありませんでしたか? 当院では病院名に「スポーツクリニック」とあるように、当院のスタッフがサッカーチームのトレーナーとして関わっていることなどもあり、院内だけでなくスポーツの現場で様々なケガの処置に接する環境が存在しています。そのような中、湿潤治療の効果が目に見えてわかっていた利点もあり、またトラブルなども発生したことも無かったのでスムーズに(湿潤治療に)移行できましたね。 ー 湿潤治療を行っていて印象的なことはありますか? 今までお話したように外傷に関しては湿潤治療を取り入れておりました。 が、実は手術後の処置に関してはかなり厳格に消毒を行っていたのです。 開業以来ずっとそのように行ってきましたし、そのまま(従来の処置)でも特別に問題が発生していたわけでも無かったので続けておりました。 ところが2009年に40代の患者さんの手術をしたとき、術後のキズがどうしても治りきらない(塞がらない)んです。今までの常識から医学的に普通に考えると骨髄炎を起こしているようにも見えるんですね。但し痛みや腫れはあまりない・・・でも治らない。で、患者さんもこれ以上仕事を休むわけにはいかないから退院させてくれという状況になりまして・・・思い切って最終的な判断として一切消毒を止めて水道水で処置をすることにしたのです。そうすると翌日からみるみる治ってきて・・・。 頭ではわかっていても当たり前の感覚として従来の習慣から抜けきれていなかったというか、20年間やってきた消毒の常識、呪縛から抜け出せなかったのですね。 結局この件が大きなターニングポイントとなり、以後手術も含め、すべての処置が湿潤治療になりました。 ー 湿潤治療普及のためにはどうすればよいでしょうか? 先ほど申し上げたように当院が関係したスポーツの現場ではだいぶ広がって来たように思います。 また当院に治療に来る患者さんにはある程度の治療ができたらプラスモイストを渡して後は自分で処置してくださいという形にして啓蒙活動も行っています。そういった患者さんの口コミでも徐々に浸透しているような気がします。 また非常勤で来る若い先生も殆どが湿潤治療を知っているんですが、自分の所属する大学ではできないという話は聞きます。ただ若い先生方は確実に理解されているので、彼らがもう少し上の役職になる時期になれば一気に広まっていくのではないでしょうか? 私自身もできるかぎり湿潤治療を広めることに力を注ぎたいと思っています。 医療法人 堺整形外科医院 福岡スポーツクリニック http://www.med-sakai.jp/clinic/sports_clinic
2015/04/07(火曜) 14:09

二期目に向けて

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桜が満開の4月を迎えました。 会員の皆様におかれましても新しい気持ちで今日を迎えられたことと思います。 当会は2013年10月に発足し、2014年4月より本格的な活動を開始いたしました。 皆様のご協力のおかげをもちまして講演会、講習会、フォーラムなどを通じて多くの方に湿潤治療の事を知っていただく機会も増えてきました。 役員につきましては、既に会報でもお知らせさせて頂きましたように、2014年度末で夏井陸先生(練馬光が丘病院)の会長任期が満了いたしましたので、理事会の承認により、2015年度からは新会長として伊藤喜亮先生(きよすクリニック)に就任いただきました。 伊藤先生は夏井先生が築いてこられた湿潤治療を実践され、愛知県地区において湿潤治療の普及にご尽力なさっています。そのため、今年度は伊藤先生を中心とした東海地区、関西地区でのセミナー等も検討できるのではないかと思っております。 また、前会長の夏井先生には、今後とも様々な場面でご助言、サポートをいただきながら活動を行って参ります。その他発起人の先生方と同様にこの活動を見守って頂くことができ、嬉しく思っております。 会員の皆様には、本年度も活動へのご協力、アイディアのご提案などをいただきますようよろしくお願い致します。 ●新会長挨拶 このたび夏井睦前会長を引き継ぎ、平成27年4月より『NPO湿潤治療(モイストケア)を推進する会』の会長に就任いたしました、きよすクリニック(愛知県清須市)院長 伊藤喜亮(いとうよしあき)です。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。 湿潤療法は、キズを「消毒しない、乾かさない」ことによりスムーズに治癒に導くことができる優れた治療法で、練馬光が丘病院 傷の治療センター 夏井睦医師は日本における湿潤療法のパイオニアです。 私は10年以上前、創傷治療について模索し湿潤療法に出会いました。ちょうどそのころ自身が転倒した時にできたキズに対し湿潤療法を試み、その優秀性を実感しました。 同じころ、勤務していた病院の看護師から「褥創のラップ療法」を紹介され、その優秀性を実感し、その後は微力ながら湿潤療法および褥創のラップ療法の普及に努めてまいりました。 湿潤療法は大掛かりな治療機器や設備を必要とせず、ポイントをおさえれば創傷の専門家でなくても処置が可能という利点があり、家庭や学校、幼稚園、保育園での応急処置等にも最適であるにもかかわらず、残念ながら十分に普及しているとは言えないのが現状です。 また、創傷の専門家でなくても処置が可能とはいえ、適切な処置のためには、創傷治療に習熟した医師・看護師等による指導・バックアップが必要なことは言うまでもありません。 私ども『NPO湿潤治療(モイストケア)を推進する会』は、優れた創傷処置方法である湿潤療法の普及を目指し設立された会です。 ぜひ当会の趣旨にご賛同いただき、湿潤療法の普及に力をお貸しいただければ幸いに存じます。 平成27年4月 NPO湿潤治療(モイストケア)を推進する会 会長 伊藤喜亮 http://kiyosu8823.com/index.htm ●発起人紹介 練馬光が丘病院の傷の治療センターで看護師をしています、上條裕美です。 夏井睦先生が秋田の地で『湿潤治療』を始め、その4年後、松本の病院に赴任してきたことが縁となり、私も湿潤治療に携わることになりました。 私がこの治療に魅了されたのは、治療を受ける患者さん達の安堵の声や、きれいに治ったときに見せる笑顔です。患者さんの立場に立った時に、看護師の立場として何ができるのか? 今も自問しながら治療にあたっています。夏井先生の地道な啓蒙活動をはじめ、全国で治療を行っている先生方のおかげで除々にこの治療も普及してきています。 昨年よりNPOが発足し、地域での勉強会も開催してきましたが、皆様から多くの反響があり活動の必要性を実感しています。今後も草の根の活動を通して、湿潤治療を広げていきたいと思います。 練馬光が丘病院 傷の治療センター 看護師 上條裕美
「健生ニュース」(壁新聞仕様)にモイストケアが取り上げられています。 職場や地元の保健施設、スポーツ関連施設等に掲示していただければ幸いです。 『健生ニュース』の購入方法 1)電話:03-3566-6000 2)FAX:03-3566-6010 3)HPのお問合せフォーム 一般販売の「健生ニュース」価格 本紙(B3判サイズ):480円/1枚 *お支払方法 商品(ニュース)と一緒に、郵便局またはコンビニエンスストアでお振込可能な振替用紙が同封されてくるとのことです。 詳細は下記ホームページをご覧ください。 http://www.inter-press.co.jp/shopping
2015/03/04(水曜) 13:27

会員の活動紹介-7

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今月は当NPO活動にボランティアで参加いただいている狩谷真由美看護師にお話しを伺いました。 ー 看護師としての経歴を教えていただけますか? 高卒後、病院に勤めながら看護学校へ通い、ナースとしてその後いくつかの病院で勤務をしていたのですが、一時期激務から体調を崩してしまって、数年間仕事から離れている時期がありました。 数年前、そろそろ看護職に復帰しようと思い、ネットなどで最新の医療知識を得るためを勉強していたところ、夏井先生のホームページで湿潤治療を知りました。 それから間もなくして、湿潤治療の講習会が都内で開催されておりましたので、そこで夏井先生の講義を拝聴し、様々な症例を直接学べて、改めて湿潤治療の有効性を確認致しました。 ー それまではいわゆる従来の治療しか経験してなかったのですね。 そうですね、いくつかの病院で勤務していましたが、湿潤治療を行っていたところはありませんでした。 ただ、先の講習会の後、飼い猫に噛まれ、かなり深いキズを負ってしまたため、幸い(?)にも練馬光が丘病院へ行って直接夏井先生の治療を請うことになりました(笑)。 そしてその時、深い傷を負った場合の湿潤治療のメリットにも改めて気付くことになりました。 従来の治療を行うと表面のキズが乾いてドレナージ(*)作用に悪影響を及ぼすことになるのですが、湿潤治療の場合は表面の傷口が閉鎖されないのでスムーズにドレナージが行われることを我が身をもって(笑)体験できました。 ー 昨年からボランティアとして当会の活動に協力いただいておりますが、その思いをお聞かせください。 NPOの活動を知ったとき、看護師としてできるだけ多くの人に湿潤治療の有効性を広めたいと思ったのです。 正直言ってこのような活動はなかなか事業として成り立たないと思っています。しかし、誰か行動を起こさないと広げていくことができないと思っているんです。少しでもヤケドやケガで苦しんでいる方々のお役に立ちたいと思いました。 ただ、先日講習会の講師役を仰せつかったときはかなり緊張しました。 そもそも人前に出ることは苦手だったので大勢の人前で話をする機会なんて今までありませんでしたから(笑)。 それでも、自分のできる範囲の中で少しでも湿潤治療の普及に貢献できたのであれば幸いです。 ー この場で読者の方々に伝えたいことがありますか? まだまだ従来の治療法がスタンダートと思っている方が殆どなので、これを読んでいる皆様一人一人がより多くの方々に口コミやネットを通じてモイストケアを広げていって欲しいと思います。 そして湿潤治療(モイストケア)普及のための講習会開催の企画を立ち上げて欲しいと思います。 (*)ドレナージ:体内にたまった余計な水分や血液などを体外に抜く措置のこと http://www.wound-treatment.jp/next/wound196.htm
2015/02/04(水曜) 10:45

会員の活動紹介 - 6

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●会員の活動紹介 今回は東京、浜松町の芝浦スリーワンクリニックにて勤務されている望月吉彦先生にお話しを伺いました。 ー 医師としてのキャリアを教えてください。 1983年鳥取大学医学部卒、心臓血管外科医としてキャリアをスタートしました。その後、獨協医大、慈恵医大、足利赤十字病院などで勤務しました。 ー 湿潤治療を知ったのはいつ頃ですか? 10年ほど前に夏井先生が講演に来られたときに知りました。 夏井先生の症例や治療原理を読んだとき、こっち(湿潤治療)が真理だなと思いました。 それは従来の処置をしていてキズが治らないのをいっぱい診てきたので・・・・素直に今まで自分のやっていたことの方が違っていたと思いました。 ー その「素直に切り替えること」がなかなか難しいところでもあると思うのですが? それは医師の勉強不足ですよ。 新しいことが出てきたときにそれが本当に正しいのか否かを自分自身で検証し、勉強すれば自ずとわかることです。 そういうことを「面倒と思うか、思わないか」と言う話。僕は面倒だとは思わない。自分と違った考えの人がいれば取りあえず意見を聞いてみよう、そして検証してみようというスタンスです。 もちろんそうで無いと(自分自身で検証しないと)、自分の患者さんには処置できないですからね。 いずれにせよ、どんなこと(治療)をやっても結果として患者さんが元気になれば良いわけで、そこに労力を割くことを否とは思いません。 ー 多くの病院では湿潤治療を行いたくても病院の方針でできないことも多いと聞きますが、先生の場合はいかがでしたか? その当時は(自分の部署の)責任者であったので問題なく処置できました。が、残念ながら他の科までのコントロールはできませんでしたけどね・・・ 最初は大きなキズ(生命に関わるような部所)で無いところから処置を始め、経過を見て、確信を持ちながら進めて行きました。 ただ、救急病棟で夜中にヤケドで運ばれて湿潤治療を施したのに翌日、別の先生が消毒〜G軟膏治療をやってしまう例などあり、やりきれない思いに苛まれたこともありました・・・。 ー 湿潤治療を行っていて印象的なことはありますか? 心臓外科医だったこともあり、糖尿病患者を診ることも多かったのですが、その中でも下腿のキズがひどい状態で、このまま(従来の治療)では足首、もしくは膝から下を切断しなくてはならないような患者さんがいました。しかし湿潤治療と糖質制限食で今では完治してしまった患者がいます。 これはその患者の人生を変えますよね。彼の場合はまだ50代半ばでしたし、足を切断していたら会社にも通えなくなって失業していたかもしれないのですから・・・ また女性で顔全体に大やけどを負った患者さんも今はきれいに治っています。これも人生を変えますよね。 ー 湿潤治療普及のためにはどうすればよいでしょうか? 一筋縄ではいかないいろいろ複雑な事情もあるから難しいですよね・・・ 学会や医師会などの件もあるし、簡単に治ってしまうと病院の都合(通院回数の減少)っていう問題もあるのかもしれません(苦笑)。 湿潤治療の保険点数の改正なども検討されても良いかもしれません。そうなると政治の問題にも関わってくるかもしれないし・・・。 患者さんは今の時代、ネットでいろいろ調べられるのでしっかり自己判断で治療を受けて欲しいですね。 医師の皆さんももっと勉強して欲しいと思います。 何より患者さんにとってはお金が掛からなくて痛くなく、早く治る治療が一番なのですから・・・ 芝浦スリーワンクリニック http://www.emilio-moriguchi.or.jp/index.html 望月先生が湿潤治療について寄稿されているwebはこちら http://www.health.ne.jp/column/column140921.html